1.シュバルツシルト解とは
シュバルツシルト解
とは、アインシュタイン方程式
\[R_{ij} - \frac{1}{2}Rg_{ij}+\lambda g_{ij} = \kappa T_{ij} \tag{1}\]
において、静的で球対称な時空間を仮定した時に出てくる解である。静的で球対称な解は、空間の計量が
\[ds^2=c^2K(r)dt^2 + L(r)dr^2+r^2d\theta^2+r^2\sin^2\theta d\phi^2 \tag{2}\]
という形で表される。このK(r)とL(r)を定める事ができれば、それがシュバルツシルト解である。これを\((x^0,x^1,x^2,x^3)=(ct,r,\theta,\phi)\)として書き直すと、
\[ds^2=K(r){dx^0}^2 + L(r){dx^1}^2+r^2{dx^2}^2+r^2\sin^2\theta {dx^3}^2 \tag{2'}\]
ちなみに(1)式は、
\[R_{ij} - \lambda g_{ij} = \kappa \left(T_{ij} - \frac{1}{2}Tg_{ij}\right) \tag{3}\]
と等価である。一応このことは示しておく
(1)式の両辺に\(g^{ji}\)をかけて和を取る。
\[\begin{align}
g^{ji}R_{ij} - \frac{1}{2}Rg^{ji}g_{ij} + \lambda g^{ji}g_{ij} = \kappa g^{ji}T_{ij} \\
R - 2R + 4\lambda = \kappa T ~~~~(T\equiv T^j_{~j}) \\
R = 4\lambda - \kappa T \tag{4}
\end{align}\]
このようにでた(4)式を(1)のRに代入すればよい。
アインシュタイン方程式の導出についてもそのうち書こうと思うが、自分でシュバルツシルト解を求めることができて嬉しかったのでとりあえず計算過程をメモしていこうと思う。
2.アインシュタイン方程式の整理
導出にはスカラー曲率の入っていない(3)式を使うことにする。なぜならスカラー曲率Rを方程式に入れると、計算が死ぬほどめんどくさくなるからだ。(やってみればわかる。)しかも問題を簡単にするために、エネルギー・運動量テンソル\(T_{ij}\)と定数\(\lambda\)は全て0だとする。つまり空間には基本的に何もないということだ。\(\lambda\)は宇宙定数とかなんとか呼ばれる数で、そもそも非常に小さい数だった。だからこれも0としてしまう。このとき(3)式は
\[R_{ij}=0\tag{3'}\]
となってかなり簡単になる。とはいっても見た目が簡単に見えるだけで、下に示すようにどっこも簡単な式じゃない。
リッチテンソル\(R_{ij}\)は以下のようであった。
\[R_{ij}=R^k_{~ikj} \tag{5}\]
ただし、\(R^h_{~ijk}\)は曲率テンソルで、
\[R^h_{~ijk} = \frac{\partial\Gamma^h_{~ik}}{\partial x^j} - \frac{\partial\Gamma^h_{~ij}}{\partial x^k} + \Gamma^l_{~ik}\Gamma^h_{~jl} -\Gamma^l_{~ij}\Gamma^h_{~kl} \tag{6}\]
と表され、さらに\(\Gamma^i_{~jk}\)はクリストッフェル記号で、(一応曲線・曲面の
Gauss-Codazzi方程式のあたりで出てきている。)
\[\Gamma^i_{~jk} = \frac{1}{2} g^{il} \left(\frac{\partial g_{lj}}{\partial x^k} +\frac{\partial g_{lk}}{\partial x^j}-\frac{\partial g_{jk}}{\partial x^l}\right) \tag{7}\]
で定義される。
で、(2')式の仮定があるから、計量テンソル\(g_{ij}\)は、
\[g_{00} = K(r), ~~g_{11} = L(r), ~~ g_{22} = r^2, ~~g_{33}=r^2\sin^2\theta \tag{8}\]
となって、その逆行列\(g^{ij}\)は
\[g^{00} = 1/K(r), ~~g^{11} = 1/L(r), ~~ g^{22} = 1/r^2, ~~g^{33}=1/r^2\sin^2\theta \tag{9}\]
となる。
これで準備完了だ。順番としては、
(1) クリストッフェル記号(7)を頑張る。
(2) 曲率テンソル(6)からリッチテンソル(5)が出る。
(3) でたリッチテンソルを(3)に代入する。
(4) 代入するとK,Lに関する連立微分方程式がでるからそれを解く。
という感じだ。(1)と(2)が本当に本当にめんどうくさいが頑張るぞ。
次回に続く。