物理とか

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確率の基礎


0.前提知識

確率について、一から順に全て説明していくのは骨が折れる。なので、ここでは、中学校や高校でやる確率の知識はある程度持っているものとして進めていく。あとはそのうち重積分やらΣ記号やらがでてくる。
なに、難しいことではない。なるべく簡単なところから順にまとめていこうかとおもっている。

1.確率変数とは?

個人的に確率変数というものがなんなのか最初よくわかっていなかった。からここで一度メモしておこうと思う。

確率変数

というのは、何らかの確率によって様々な値をとる変数のことをいう。というのが、よくみる確率変数の定義の仕方ではないだろうか。しかしまあなんと分かりにくいこと。僕はいったい確率変数ってなんなんだ!という穴からしばらくの間抜け出せないでいた。でも最近やっと理解できた気がする。

確率"変数"と名前はついているが、実は確率"関数"と呼ぶほうがふさわしい性質のものなのだ。確率変数というのは、確率が与えられて、その確率にしたがって何らかの値をランダムにとるものなのだから。
たとえとして、くじの箱からひとつのくじを引き出して何等があたるか、というのを確率変数Xとしよう。確率変数というのは、演習問題なんかではこんな感じのが多いのではないだろうか?こういう風にいわれると、なんと無しにXというのはある決まった結果(たとえば2等)を指しているように思えてしまう。でも実際には、確率変数Xが指すのは、起こりうるすべての場合(1等,2等,3等,...)というのを、それらが起こる確率と関連付けるもののような感じだ。または、全ての場合の集合、といってもよいかもしれない。とにかく、Xというのはある単一の結果を指し示すのではない、ということだ。いうなれば、Xはくじの箱それ自体を表しているようなものである。

そのあたりを僕は最初誤解して認識していたがために、確率変数が出てきた時点で意味不明になってしまっていた。が、これからはもう大丈夫。理解できた気がする。

2.有限個事象の確率

まず、

事象

というのは何かの出来事のことである。たとえばさいころをふって3が出る、みたいなことだ。
有限個事象の確率というのは、中学高校でやる確率のことだ。つまり、ある事象のおこる確率Pが、全事象の数Nと、注目している事象の数nとで、
\[ P = \frac{n}{N}\] であたえられるようなもののことである。特に難しいことではないと思うので、ここはこの程度で終わっておく。

3.無限個事象の確率

事象が有限個なら上のような話で確率がでるから簡単だ。でも事象が無限個あったらどうだろう。\(N \to \infty\)になったら確率が0になってしまいそうだ。
まずは具体的な事象で考えてみよう。

上のような正方形と円の図形に、なんでもいい、たとえば砂粒を投げ入れることをかんがえよう。その砂粒が円内に入る確率は?と聞かれたらどうしようか。いちいち砂の落ちる場所、その全ての場合を数え上げるのは不可能だろう。実際無限個あるわけだから。じゃあ確率はどう定義するか。ここは感覚的にいってしまおう。たぶん面積比になるとはかんがえられないか?つまり
\[P = \frac{(円の面積)}{(正方形の面積)}\] とかけば感覚的によさそうだ。だから無限個事象の確率はこんな感じで考えられる。

4.離散分布と連続分布

確率分布

とは、どの値がどれくらいの確率で出るか、というその分布のことをいう。それには大きく分けて二つの種類が存在するのだが、それらを紹介して終わりにしようとおもう。

離散分布

:
  離散分布とは、確率変数のとる値がとびとびであるような確率分布をいう。たとえばさいころを振った目の数だったり、トランプをひいてえられる数字だったり、そんなものが離散分布である。

連続分布

:
  連続分布は、上の無限個事象の例で挙げたような確率のことである。つまり、確率変数がとびとびでない値をとるようなもののことだ。重要なのは、連続分布では、確率変数があるひとつの値をとる確率というのは、0だということ。なぜかといえば、上に上げた例からも分かるが、砂粒がある一点に落ちる確率というのは、限りなく0に近いからだ。

実際は離散分布もδ関数を使えば連続分布のように表すことができるかとは思うが、その辺はもっとあとになったらでてくるのだろう。